建設コンサルタントとは?
日本の国土とインフラが抱える課題
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私たちの日々の生活や経済活動は、道路、橋梁、港湾、空港、河川、ダム、下水道といった社会資本(インフラ)により支えられています。我が国は、戦後飛躍的な経済成長を遂げ、世界の重要な先進国となっていますが、実は我が国のインフラはまだまだ不十分な水準にとどまっています。むしろ遅れていると言うべきでしょう。高速道路のネットワークは多くの地域で未完のまま、片側1車線のところもたくさんあります。危険な通学路、歩行者、自転車、車が混在する道路、景観や災害活動を阻害するたくさんの電柱。さらに、日本は世界一の災害大国です。地震、津波、高潮、洪水、土砂災害、火山噴火などの災害が毎年発生しています。我が国は、これまで長年にわたって災害対策に取り組んできましたが、まだまだ不十分であることは近年の大災害の発生を見れば明らかなとおりです。加えて、気候変動の顕在化により豪雨災害はますます激甚化、頻発化すると見込まれていますし、南海トラフ地震や首都直下地震といった巨大地震の発生も近づいていると言われています。大規模な火山噴火もいつ起きるかわかりません。災害対策の強化は待ったなしです。加えて、インフラの老朽化対策も深刻な課題になってきています。我が国のインフラは、高度経済成長期以降に集中的に整備されたものが多く、これらが一斉に老朽化してきているのです。安心、安全で、豊かな生活を維持、発展させていくため、国土の整備、インフラの整備にこれまで以上に力を注いでいかなくてはならないのです。
建設コンサルタントとは
インフラの整備・管理や国土計画、都市計画などは、国や地方自治体などが法令に基づき責任をもって進めています。しかし、これらインフラや国土整備に関するすべてを国や地方自治体が行っているわけではありません。建設コンサルタントは、国や地方自治体の依頼に基づき、調査、企画立案、評価、計画検討、設計、工事管理、プロジェクトマネジメント、施設管理、施設運用など様々な形でこれらインフラの整備・管理等の一連の流れに参画しています。建設コンサルタントは保有する高度な技術力でこれらに貢献しています。(インフラ施設の工事そのものは、ゼネコン等の建設会社が担っています。)
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安全・安心の確保
平成23年東日本大震災では死者1万5900人、行方不明者2523人という極めて大規模な人的被害が発生し(令和3年3月時点での集計)、多くの街が壊滅しました。その後も毎年のように大規模な水害・土砂災害などが発生し、多くの方々が亡くなり、街が被災し、静かな生活と財産が失われています。河川、ダム、砂防、海岸の整備などにより災害に強い国土を整備し、人々の安全・安心を確保します。防災・減災、国土強靭化を進めます。
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経済成長と活力ある生活の実現
我が国はここ30年間ほとんど経済成長せず、給与も上がらないという状況が続いています。この間、世界の国々はどんどんと成長を続けて来ました。この大きな原因は交通基盤などのインフラへのしっかりとした投資と整備がなされてこなかったことが大きいと考えられています。道路、港湾などの交通・物流基盤を強力に整備し、災害対策やDXとあわせて、効率的で生産性の高い国土・地域整備、都市整備を進めます。そして、経済成長する日本を実現し、豊かで活力ある生活を実現していきます。
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豊かで潤いのある国土の保全・創造
日本の国土は、本来山紫水明と言われる自然豊かで美しい国土です。インフラ整備、国土整備にあたっては、動植物の生息・生育・繁殖環境や美しい景観を保全・再生・創出することに留意しながら進めていく必要があります。人々が触れ合える、使いやすい、安らげる、美しいものとする必要もあります。多自然川づくり、自然再生、生態系ネットワーク、ほこみち、風景街道、景観設計などの取り組みにより、豊かで潤いのある国土を保全・創造していきます。
仕事の特徴(魅力・やりがい)
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みんなを幸せにする
安全・安心、経済成長、活力、豊かで潤いのある国土、などなど、どれも全部人々を幸せにすることを目的としています。建設コンサルタントは仕事を通じて、多くの人々、みんなを幸せにすることができます。
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後世に残るものづくり・地域づくり
自分が設計したり計画したインフラは、道路であれ橋梁であれ河川であれ、大小にかかわらずすべてが国土の地形や街並みなどの景観となって永く後世まで残ります。今私たちが生きて使っている道路や川や都市も何十年、何百年と言うインフラの積み重ねの上で成り立っています。しかも、一つとして同じものはありません。人々を幸せにし、その上、自分の生きた証を具体的な形として残すことができる仕事、とても感慨深いものです。
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プロジェクトを動かす感動
インフラの整備や国土の整備には様々なものがありますが、それぞれが全部重要なプロジェクトです。場所により、課題により、プロジェクトの大きさは様々ですが、そこに生きる方々にとって、地域にとって重要でないものはありません。短いコンクリート橋であれ長大橋であれ、地域・人・ものをつなぐことへの期待はとても大きいものです。調査であれ、計画であれ、設計であれ、自分がプロジェクトに参画し、プロジェクトを動かした。地域や社会に貢献できた。技術者としての技術力を発揮し、課題解決を達成した。何ものにも代え難い達成感を味わえます。