【新聞記事】次代を開く－建設コンサル・11／いであ・田畑彰久社長／一歩先を見据え技術開発

2023年12月期は賃上げによる人件費増加やDX投資で利益面では厳しいと予想していたが、計画より上振れて着地できた。3カ年中期経営計画の最終年度の24年12月期は防災・減災や国土強靱化、インフラ老朽化対策など重点分野に引き続き注力する。

今後期待するのは海洋調査分野だ。政府がAUV（自律型無人潜水機）の社会実装に向けた戦略を掲げており、洋上風力発電や海洋資源開発などで拡大が期待できる。自社開発のホバリング型AUV「YOUZAN」や水中ロボティクス技術を強みに、海洋環境の見える化に注力する。

気候関連財務情報開示タスクフォース（TCFD）や自然関連財務情報開示タスクフォース（TNFD）への支援が求められている。二つを統合的に捉え、共通する水リスクの評価やネイチャーポジティブの実現に向けた提案など経営課題解決に貢献する。具体的な対策の提案が評価され、実績が増えている。既存を深掘りしつつ、新規事業を展開する。一つが健康・生命科学分野だ。「マイクロRNA」によるがん診断技術を確立した。次期中期計画内に収益事業として軌道に乗せたい。

大きな課題は人財の確保・育成で、研修に力を入れている。若手の意見も取り入れ、より働きやすい企業にする。社会課題が複雑かつ多様になってきている。一歩先を見据えた技術開発が必要だ。分野の垣根を越えた付加価値の高い提案で社会に貢献する。