がんとRNAメチル化酵素の関係についての先端的研究
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当社が参画する大阪大学大学院医学系研究科 石井秀始特任教授(常勤)らの共同研究グループは、トランスジェニックマウスの膵臓細胞にRNAメチル化酵素METTL3 (注1)を過剰発現させることにより「膵がん」が生じることを世界で初めて報告しました。
本研究では、RNAメチル化酵素METTL3をトランスジェニックマウスの膵臓細胞で過剰に発現させることにより「膵臓にがんが生じること」を確認しました。あわせてメチル基供与体であるS-アデノシルメチオニン(注2)と結合するドメインを破壊した機能欠失型のMETTL3を過剰発現させても「がん化は生じない」ことを確認しました。これらのことにより、従来知られていた「がん細胞がメチル化RNAを多く含むこと」に加えて、「細胞内のRNAメチル化が亢進することによって、がんが生じること」が確認され、RNAメチル化は、がん化の結果ということだけではなく、がん化を引き起こす原因であることが明らかとなりました。
この結果は、当社と石井秀始特任教授らの共同研究グループが2019年に報告した、マイクロRNAメチル化測定による早期がんリスク検査の有効性を追認する研究成果となっています。
本研究成果は、Nature Portfolioのオープンアクセス科学誌「Signal Transduction and Targeted Therapy(注3)」に、8月6日(木)に公開されました。
https://www.nature.com/articles/s41392-026-02880-5
また、本日8月19日(水)に大阪大学が本件に関しオンライン会見を開催しました。
大阪大学研究ポータルサイト ResOU
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2026/20260806_4
〔注1:RNAメチル化酵素 METTL3〕
METTL3は、RNA分子中のアデノシン(adenosine , A)をメチル化して、N6-メチルアデノシン(N6-methyladenosine, N6-mA)にする酵素活性を持つタンパク質です。RNA分子中のアデノシンのメチル化は、DNAからRNAが転写された後でMETTL3の酵素反応によって生じます。このような反応は転写後修飾(Post-Transcriptional Modification)と呼ばれ、細胞内でDNAから転写されたRNA分子が機能するために重要な役割を担っています。
〔注2:S-アデノシルメチオニン〕
S-アデノシルメチオニンは、RNA、DNAなどの核酸を構成している塩基をメチル化する酵素の基質です。必須アミノ酸の1つであるメチオニンから合成される核酸塩基メチル化反応においてメチル基供与体として必須の化合物です。
〔注3:掲載紙Signal Transduction and Targeted Therapy(STTT)誌について〕
「Signal Transduction and Targeted Therapy(STTT)」は、がん研究などの重篤な疾患に関するシグナル伝達メカニズムや、標的療法の研究成果を中心に掲載しているNature Portfolioのオープンアクセス誌です。特筆すべきは、同誌の2025年のインパクトファクターは81.2(2024年は52.7)であり、世界最高峰の評価を受けている点です。
※インパクトファクターは、調査対象の学術雑誌の相対的な影響力の大きさを測る指標となります。その学術雑誌に掲載された論文が一年あたりに他の論文に参考文献として引用された回数の平均値として算出されます。掲載された論文が注目を浴び多くの研究者に引用されることで数値は大きくなり、より大きな「インパクト」があるジャーナルということになります。