【新聞記事】海洋無人機と洋上風力発電施設/国内の技術を活用したイノベーション/世界初の全自動周回点検に成功/いであ AUVの活用が大注目
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環境調査や海洋調査を手掛けている「いであ」(東京都世田谷区、田畑彰久社長)は浮体式洋上風力発電施設の水中部をAUV(自律型無人探査機)で全自動周回点検する実証実験に取り組んでいる。長崎県五島市沖では世界初となる全自動周回点検に成功した。
同実験は「自律型無人探査機(AUV)利用実証事業(内閣府総合海洋政策推進事務局)」により、戸田建設(東京都中央区、大谷清介社長)、東京海洋大学、九州工業大学と共同で2024年に行った。
いであが自社開発したホバリング型AUV「YOUZAN」を活用し、長崎県五島市崎山沖浮体式洋上風力発電所「はえんかぜ」(スパー型浮体)と、同椛島沖のスパー型浮体施設で水中部の全自動周回点検を実施した。
YOUZANに搭載したソーナーで浮体を検知し、らせん状に周回潜航しながら高感度カメラで浮体を撮影し、AIや画像解析技術を用いて浮体の3Dデータを作成した
髙島創太郎執行役員外洋調査事業本部長は「政府は将来、我が国のEEZ(排他的経済水域)内に、浮体式洋上風力発電施設を展開する方針。EEZは水深が深いため、海洋無人機を活用した水中点検技術が必要とされている」と語った。
実証実験で活用したYOUZANは最大潜航深度2000m、最大潜航時間8時間。水中でホバリングしながら調査でき、流れの穏やかな深海底を調査するために開発され、主に環境調査等に多く活用されている。
髙島執行役員は「日本の洋上風力発電施設は流れが速い海域に建設されることが多い。YOUZANは長方体なので流れの抵抗を受けてしまう」と実証実験を通じて得た課題を語った。
また、AUV運用時の安全管理も課題となった。水中点検の際には、浮体から海底に伸びる水中送電ケーブルに接触しないように作業するなど細心の注意を払ったという。
様々なロボティクスを組み合わせた点検を
髙島執行役員は「実証実験を通して、様々な課題を洗い出している。将来的にはこれらをもとに、浮体式洋上風力発電施設の点検に特化したAUVを開発したい」と述べた。
髙島執行役員は浮体式洋上風力発電施設の水中点検について、「AUVだけでなく、ASV(無人水上機)やROV(遠隔操作型無人潜水機)などを適切に組み合わせる必要がある」と語った。
ASVは水面を航行するため広域調査に適し、AUVは詳細な水中点検を得意とする。
髙島執行役員は「発電事業者は、現場の水深や目的に応じて、海洋無人機を使い分けることが重要になる」と語った。
インタビュー いであ(株) 髙島創太郎執行役員
国の需要創出に期待
政府は成長戦略に向けた「官民投資ロードマップ」を7月21日に決定した。
17分野・62項目の製品・技術を重点投資対象に選定し、このうち、海洋無人機(海洋ドローン)には2040年度までに1・2兆円の官民投資を見込む。
AUV(自律型無人探査機)を活用し、環境調査や海洋調査を手掛けている「いであ」(東京都世田谷区、田畑彰久社長)の髙島創太郎執行役員外洋調査事業本部長に海洋無人機の投資促進について話を聞いた。
――「官民投資ロードマップ」が発表された時の感想は。
髙島執行役員 現在の情勢をよく反映していると思った。日本は四方を海に囲まれた海洋国家であり、今後の海洋開発や安全保障において、海洋無人機は不可欠な技術である。
さらに40年度までの官民投資額が1.2兆円と具体的な数字が記載されており、官による需要創出や社会実装支援に大いに期待している。
――政府が海洋無人機産業の発展にどのような後押しをしていると思うか。
髙島 国産AUVの開発は、24年に総合海洋政策本部において決定された海洋開発等重点戦略に挙げられており、政府、特に内閣府総合海洋政策推進事務局の後押しを実感している。
――欧米では石油やガス開発、安全保障分野で海洋無人機の開発が進んでいる。日本ではどういった分野で進むか。
髙島 日本の市場では、洋上風力発電施設の点検への活用が特に期待できる。さらに、海洋環境の保全や水産資源調査への活用も期待される。国産の海洋無人機が量産できれば、無人化や省力化が進むのではないか。
――海洋無人機の効果を示すための第一歩として何が必要か。
髙島 AUVの性能を実際に示すこと。現在、ホバリング型AUV「YOUZAN」を活用した海底の生態系調査などで成果を示している。
――40年度までに1.2兆円の投資を実現するために必要なことは。
髙島 官民協調により海洋無人機の利用用途や利用規模の見える化を図り、民間投資に必要な予見可能性を高めることにより、政府の投資が呼び水となって民間投資も進んでいくだろう。
同実験は「自律型無人探査機(AUV)利用実証事業(内閣府総合海洋政策推進事務局)」により、戸田建設(東京都中央区、大谷清介社長)、東京海洋大学、九州工業大学と共同で2024年に行った。
いであが自社開発したホバリング型AUV「YOUZAN」を活用し、長崎県五島市崎山沖浮体式洋上風力発電所「はえんかぜ」(スパー型浮体)と、同椛島沖のスパー型浮体施設で水中部の全自動周回点検を実施した。
YOUZANに搭載したソーナーで浮体を検知し、らせん状に周回潜航しながら高感度カメラで浮体を撮影し、AIや画像解析技術を用いて浮体の3Dデータを作成した
髙島創太郎執行役員外洋調査事業本部長は「政府は将来、我が国のEEZ(排他的経済水域)内に、浮体式洋上風力発電施設を展開する方針。EEZは水深が深いため、海洋無人機を活用した水中点検技術が必要とされている」と語った。
実証実験で活用したYOUZANは最大潜航深度2000m、最大潜航時間8時間。水中でホバリングしながら調査でき、流れの穏やかな深海底を調査するために開発され、主に環境調査等に多く活用されている。
髙島執行役員は「日本の洋上風力発電施設は流れが速い海域に建設されることが多い。YOUZANは長方体なので流れの抵抗を受けてしまう」と実証実験を通じて得た課題を語った。
また、AUV運用時の安全管理も課題となった。水中点検の際には、浮体から海底に伸びる水中送電ケーブルに接触しないように作業するなど細心の注意を払ったという。
様々なロボティクスを組み合わせた点検を
髙島執行役員は「実証実験を通して、様々な課題を洗い出している。将来的にはこれらをもとに、浮体式洋上風力発電施設の点検に特化したAUVを開発したい」と述べた。
髙島執行役員は浮体式洋上風力発電施設の水中点検について、「AUVだけでなく、ASV(無人水上機)やROV(遠隔操作型無人潜水機)などを適切に組み合わせる必要がある」と語った。
ASVは水面を航行するため広域調査に適し、AUVは詳細な水中点検を得意とする。
髙島執行役員は「発電事業者は、現場の水深や目的に応じて、海洋無人機を使い分けることが重要になる」と語った。
インタビュー いであ(株) 髙島創太郎執行役員
国の需要創出に期待
政府は成長戦略に向けた「官民投資ロードマップ」を7月21日に決定した。
17分野・62項目の製品・技術を重点投資対象に選定し、このうち、海洋無人機(海洋ドローン)には2040年度までに1・2兆円の官民投資を見込む。
AUV(自律型無人探査機)を活用し、環境調査や海洋調査を手掛けている「いであ」(東京都世田谷区、田畑彰久社長)の髙島創太郎執行役員外洋調査事業本部長に海洋無人機の投資促進について話を聞いた。
――「官民投資ロードマップ」が発表された時の感想は。
髙島執行役員 現在の情勢をよく反映していると思った。日本は四方を海に囲まれた海洋国家であり、今後の海洋開発や安全保障において、海洋無人機は不可欠な技術である。
さらに40年度までの官民投資額が1.2兆円と具体的な数字が記載されており、官による需要創出や社会実装支援に大いに期待している。
――政府が海洋無人機産業の発展にどのような後押しをしていると思うか。
髙島 国産AUVの開発は、24年に総合海洋政策本部において決定された海洋開発等重点戦略に挙げられており、政府、特に内閣府総合海洋政策推進事務局の後押しを実感している。
――欧米では石油やガス開発、安全保障分野で海洋無人機の開発が進んでいる。日本ではどういった分野で進むか。
髙島 日本の市場では、洋上風力発電施設の点検への活用が特に期待できる。さらに、海洋環境の保全や水産資源調査への活用も期待される。国産の海洋無人機が量産できれば、無人化や省力化が進むのではないか。
――海洋無人機の効果を示すための第一歩として何が必要か。
髙島 AUVの性能を実際に示すこと。現在、ホバリング型AUV「YOUZAN」を活用した海底の生態系調査などで成果を示している。
――40年度までに1.2兆円の投資を実現するために必要なことは。
髙島 官民協調により海洋無人機の利用用途や利用規模の見える化を図り、民間投資に必要な予見可能性を高めることにより、政府の投資が呼び水となって民間投資も進んでいくだろう。