タンパク質分析(プロテオーム解析)受託サービスカタログ
- 生命科学
- 化学分析・リスク評価
二次元電気泳動像の比較解析と報告書の返却
取得した二次元電気泳動像の比較解析を行います。大型ゲルによる高分解能の二次元電気泳動像を解析する場合、サンプル間のスポットの比較を目視で行うには限界があります。膨大なスポット情報から有用な情報を引き出すため、画像解析ソフトウェアによる定量解析を行います。刺激の有無や経時変化に対応したスポットの出現・消失・増加・減少の情報を高い精度で得ることで、信頼性の高い解析結果をご提供いたします。
報告書は、閾値を超える濃度変化が起こったスポットに印を付けた分かりやすい体裁で納品いたします。報告書末尾には濃度差が大きいスポットを順に並べた同定候補リストを収載し、お客様とのディスカッションののちに質量分析のステージに進みます。
接着性培養細胞
- 装置と器具
セルスクレイパー - 試薬
◆ タンパク質溶解溶液(Lysis Buffer)- 6 M 尿素
- 2 M チオ尿素
- 2% CHAPS
- 1% Triton X-100
分注して冷凍保存(短期では-20℃、長期では-80℃)
- 方法(直径10 cmシャーレの場合)
- 培養細胞の培地をアスピレーションで除き、PBS(-)10 mLをすばやく入れます。通常は氷冷PBS(-)が推奨されますが、温度は実験の目的にあわせてご検討ください。PBS(-)を入れるときは、細胞がはがれないように注意しながらシャーレの側面から入れてください。はがれやすい細胞の場合にはPBS(+)のご利用をご検討ください。
- 手で軽くゆらしながら、まんべんなく細胞表面を洗い、PBS(-)を捨ててください。この操作を3~5回繰り返します。残ったPBS(-)はシャーレを傾け、アスピレーターもしくはピペットを使って完全に除去します。PBS(-)は塩を含むので、なるべく残らないように気をつけてください。
- シャーレ1枚につきタンパク質溶解溶液0.5 mL加え、セルスクレイパーでかき混ぜて細胞を溶解します。
- 複数枚のシャーレを調製する場合は、まず枚数分のタンパク質溶解溶液を最初のシャーレに加えます。2枚目のシャーレの細胞を洗浄後、最初のシャーレに加えたタンパク質溶解溶液を2枚目に移していきます。
- チューブに回収後、遠心して不溶物を除去します(遠心20,000 x g、30分、20℃)。
- 遠心後の上清をサンプルとし、ペレットを加えないように注意して新しいチューブに移します。冷凍保存(短期では-20℃、長期保存では-80℃)のうえ、冷凍の宅配便で当社へご送付ください。
※ヒト皮膚由来のケラチンの混入を防ぐため、実験操作の際には清浄な手袋をご着用ください。
参考文献
Rabilloud, T., Electrophoresis, 18, 307 (1997)
動物組織
- 試薬
◆ タンパク質溶解溶液(Lysis Buffer)
接着性培養細胞 参照
※ヒト皮膚由来のケラチンの混入を防ぐため、実験操作の際には清浄な手袋をご着用ください。
- 麻酔した動物から目的の臓器あるいは組織を採取します。
- 必要であれば切除した臓器あるいは組織を氷冷PBS(-)で脱血します。タンパク質の分解を防ぐため手早く行うように注意してください。
- 組織をはさみで切り刻み、PBS(-)で洗浄します。
- 組織の重さ(A g)の5倍量のタンパク質溶解溶液(5 xA mL)を加え、ホモジナイズします(当社ではポリトロンを使用)。ガラスホモジナイザーを使った場合には、組織の残渣が見られる場合があるので、残渣が見られた場合にはソニケーターで可溶化させます。
- 可溶化後、20,000 x g、20℃で30分間遠心し、上清を取って電気泳動のサンプルとします。溶解液は高濃度の尿素/チオ尿素を含むため、4℃で遠心操作を行うと析出しますのでご注意ください。冷凍保存(短期では20℃、長期保存では-80℃)のうえ、冷凍の宅配便で当社へご送付ください。
※組織によって異なりますが、動物由来の組織では概算で湿重量の約2-8%がタンパク質となります。
参考文献
- 「図説 動物実験の手技手法」、緒方 規矩雄 監、1981(共立出版,ISBN 4-320-05255-2)
- Rabilloud, T., Electrophoresis, 18, 307 (1997)
液体培養細菌
細菌の種類や培地によって最適な抽出法は異なります。一例をご紹介します。
- 試薬
◆ タンパク質溶解溶液(Lysis buffer) - 方法
- 培養液を8,000 rpm、10 min、4℃で遠心分離を行い、菌体をペレットにします※1,2。
- 上清を完全に除いた後、培養液の半量の10 mMリン酸バッファー(pH 7.4)を加えて菌体を再懸濁し、再び遠心分離でペレットにします。この操作を3回繰り返して洗浄を行います※3。
- 上清を完全に除き、タンパク質溶解溶液 1 mLを加え、ピペッティングまたはボルテックスで完全に懸濁して溶液を均一化させます。溶解液を20,000 x g、30 min、20℃で遠心分離し、不溶性物質を沈殿させます※4。
- 上清を回収して新しいチューブに移します。冷凍保存(短期では-20℃、長期保存では-80℃)のうえ、冷凍の宅配便で当社へご送付ください。
※1 集菌条件は、実験の目的にあわせてご検討ください。
※2 培養液量は下記資料(3.菌体数とサンプル量について)を参考にしてください。
※3 洗浄用バッファーの組成や温度は実験の目的にあわせてご検討ください。
※4 冷却すると尿素等が析出しますので、室温で遠心してください。
- 菌体数とサンプル量について
二次元電気泳動に最低限必要な量は約100 μgですが、タンパク質定量やタンパク質同定分析、複数回の二次元電気泳動分析に備えるため、1 mg以上のタンパク質をご用意ください。
【1 mgのタンパク質の調製に必要な菌体数(大腸菌の場合)】
大腸菌細胞1個の体積:1x10-15 Liter,
細胞内タンパク質濃度:200~320 mg/mL
1 mg protein =3.1×109~5.0x109Cells※5
※5 カナダ アルバータ大学 Project Cyber Cell, E. coli Statisticsより
http://redpoll.pharmacy.ualberta.ca/CCDB/cgi-bin/STAT_NEW.cgi
接着性培養細胞 参照
◆ 10 mMリン酸バッファー(pH 7.4)
Na2HPO4・12H2O 1.77 g NaH2PO4 0.27 g →MilliQ水で1,000 mLとする
※ヒト皮膚由来ケラチンの混入を防ぐため、実験操作の際には清浄な手袋をご着用ください。
植物組織/植物細胞
植物の種類や組織によって最適な抽出方法は異なります。一例をご紹介します。
- 試薬
◆ タンパク質溶解溶液 (Lysis buffer) - 操作
- 液体窒素を入れた乳鉢に試料組織(1~2 g)を入れ、凍結状態で粉状になるまで破砕します。この際、3% (w/v)になるようにPVP (Polyvinylpyrolidone)を加えます。
- 試料が溶け始める前に、氷冷した抽出Buffer(試料重量に対し10倍量)を添加してよく混和します。
- 液状になったところでマイクロチューブ等に移し、20,000 xg, 30 min, 4℃で遠心分離後、上清を回収します。
- 得られた上清を0.45 μmフィルターもしくはミラクロスに通してろ過し、混入した残渣等を完全に除去します。
- 上清を少量取ってタンパク質定量を行います。
- 泳動量ごとにチューブに分注し、等量の20% (v/v) TCAを加えて混和後、氷上で30分間静置します。
- 20,000 x g, 30 min, 4℃で遠心分離後、上清を除去します。
- 得られた沈殿に冷アセトン1 mLを加え、軽くボルテックスした後に20,000 x g, 15 min, 4℃にて遠心します。この操作をもう一度繰り返します。
- アセトンを除去した後、タンパク質溶解溶液適量に溶解します。
- 冷凍保存(短期では-20℃、長期保存では-80℃)のうえ、冷凍の宅配便にて当社へご送付ください。
接着性培養細胞 参照
◆ 抽出Buffer
0.5 M Tris-HCl Stock 5.0 mL (50 mM)
EDTA 18.6 mg ( 1 mM)
100 mM PMSF Stock 0.5 mL ( 1 mM)
DTT 7.7 mg ( 1 mM)
→MilliQ 水で50 mLとする
◆ 100 mM PMSF Stock
PMSF 0.17 g
→メタノール 10 mLに溶解する
※ヒト皮膚由来のケラチンの混入を防ぐため、実験操作の際には清浄な手袋をご着用ください。
二次元電気泳動解析に関して、お客様から多く寄せられたご質問についてお答えいたします。
1. サンプルの量はどのくらい必要ですか?
二次元電気泳動の比較解析には、最低100μgのタンパク質が必要です。再現性の確認や、同定分析用のゲルを別に用意する場合に備えて、1 mg以上のサンプルをご用意ください。
2. サンプルの調製はどのようにするのですか?
当社からご送付するLysis bufferを用いてサンプルをご調製ください。培養細胞、組織、微生物からの抽出プロトコルをご用意しております。特殊なサンプルの場合はご相談ください。
3. サンプルの送付方法について教えてください。
冷凍の宅配便で平日18時までに弊社プロフェニックス研究室へ到着するようにお送りください。ドライアイスをご利用いただくことをおすすめいたします。分析依頼書をお送りしますので、サンプルに同封するかFAX、e-mail添付でご返送ください。
〒559-8519
大阪市住之江区南港北1-24-22
いであ株式会社 食品生命科学研究所
プロフェニックス研究室
電話:06-4703-2865 FAX:06-4703-2856
e-mail:proteome@ideacon.co.jp
4. サンプルの濃度はどのくらいが適当ですか?
サンプルのタンパク質濃度は1 mg/mL以上になるように調製してください。濃度が0.3 mg/mL 以下ですとサンプルを濃縮する必要があります。
5. どのpIレンジで泳動を行うべきでしょうか?
注目するpIレンジがない場合は、pI 4-7 かpI 3-10 をおすすめしております。pI 4-7 は泳動像の展開幅と再現性のバランスが良いレンジです。pI 3-10 はpI 4-7 に比べ分離能がやや劣りますが、酸性から塩基性まで幅広いスポット情報を得ることができます。
6. 二次元電気泳動像の定量的分析とは?
二次元電気泳動解析ソフトウェアによって電気泳動イメージからスポットを検出し、各スポット強度を数値化します。複数の泳動ゲルイメージを重ね合わせて各スポットのマッチングを行います。各スポット強度を表やグラフによって出力することができます。例えば、2倍以上の強度差を持つスポットなど、研究者の希望にそったスポット選出が可能です。
7. サンプルや泳動したゲルは保管できますか?
残ったサンプル溶液は -80℃で保存します。銀染色やCBB染色後のゲルは乾燥させて、SYPRO Ruby染色のゲルはシールバックで保存します。保存期間は、泳動日より3ヶ月です。
8. 染色方法について教えてください。
二次元電気泳動の比較解析には、高感度かつダイナミックレンジが広く定量性が高いSYPRO Ruby染色で行います。タンパク質同定が目的の場合は、銀染色やCBB染色を行います。
9. リン酸化タンパク質の二次元電気泳動分析とは?
リン酸化タンパク質に結合する蛍光色素による染色(Pro-QDiamond染色)を行います。リン酸基に対して色素が結合するため定量性がありませんが、定量性の高いSYPRO Rubyで二重染色することでサンプル間のリン酸化の程度を解析します。
10. 転写因子などの微量タンパク質は検出できますか?
SYPRO Ruby染色の検出限界は1 ng程度です。60 kDaのタンパク質を例にしますと、1 ngは1.0 x 1010個のタンパク質分子に相当します。微量タンパク質が1細胞に103分子存在する場合は、107個の細胞(約 5 mg protein)を分析する必要があります。この場合、1枚のゲルに泳動するのは難しいので、目的のタンパク質だけを部分精製するなどの処理が必要になります。
11. 異なる位置のスポットが同じタンパク質と同定されましたが、なぜですか?
リン酸化や糖鎖付加などの翻訳後修飾や、配列が異なるアイソフォームなど、同じタンパク質でも等電点と分子量が異なるvariantsが存在します。等電点方向に並んでいるスポットはリン酸化の修飾などが、斜めに並んでいるスポットは糖鎖付加が考えられます。大きく異なる位置に分解産物のスポットが観察されることもあります。
12. スポット濃度に変化があったタンパク質の遺伝子発現を調べると、遺伝子の転写量に変化がないのですが、なぜでしょうか?
二次元電気泳動におけるスポットの変化は、タンパク質の存在量の変化だけを示すものではありません。リン酸化などの翻訳後修飾や部分的切断によってタンパク質の等電点と分子量が変化し、結果的にスポットの座標や濃度の変化として観察されます。二次元電気泳動分析では、遺伝子解析では得られない情報にも着目されることをおすすめいたします。
電気泳動について
お客様のご研究室で電気泳動を行う場合は、プレキャストゲルを使用されることをおすすめいたします。器具類をよく洗浄しケラチンなどのコンタミネーションにご注意ください。特に冬季の乾燥する時期は、静電気によるウール製品からのコンタミネーションにもご配慮ください。
染色キットについて
銀染色の場合、グルタルアルデヒド(架橋性固定剤)を含まない処方で固定・染色してください。質量分析に阻害的ではないキットには、ATTO EzStain Silver(AE-1360)、コスモ・バイオ 2D-銀染色試薬・Ⅱ(423413)、富士フィルム和光Negative Gel Stain MS Kit (293-57701)などがあります。CBB染色の場合、脱色が難しいほど染まっているスポットは同定成功率が低下します。長時間の染色はお避けください。
必要なサンプル量について
確実な同定結果をお返しするため、CBB染色で染まる程度の量(1 pmol以上)をご用意いただくことをおすすめいたします。
ゲルから切り出す際の手順と注意
ヒトケラチンのコンタミネーションを防ぐために清浄な手袋を付け、泳動用ガラス板、泳動槽、染色バットなどを充分に洗浄してください。
清浄なメスもしくはカミソリを用いて解析ご希望のバンドを切り出してください。その際、余分なアクリルアミドゲルが存在しますとペプチドの抽出効率が下がりますので、できるだけ染色されたバンドのみを切り抜いてください。
サンプルのご送付
(1)乾燥させたゲル片
微量遠心チューブに入れて室温でお送りください。
(2)ウェットなゲル片
ゲル片だけを微量遠心チューブに入れて、4℃の冷蔵宅配便でお送りください。
(3)液体のタンパク質溶液
微量遠心チューブに入れていただき、輸送中の飛散防止のため-20℃の冷凍宅配便でお送りください。
※質量分析計による同定可能性をお見積もりしますので、サンプルの推定量と泳動像をお知らせください。
報告書の返却
報告書は電子ファイル(PDF, HTMLなど)をeメールに添付してお返しいたします。
ファイルにはNCBInr等データベース検索の結果を掲載します。de novo解析の場合は推定配列と根拠となるMS/MSスペクトルデータを掲載します。情報漏えいのリスクについて
弊社の質量分析関連機器はクローズドLANで運営されております。
NCBInr等の配列情報は一度クローズドLAN内にデータをダウンロードして検索を行いますので、お客様の解析データが外部に漏れる心配はございません。
タンパク質同定分析に関して、お客様から多く寄せられた事項についてお答えいたします。
1. サンプルの量はどのくらい必要ですか?
分析は100 fmol以上からお受けいたします。確実な同定結果を得るために、1 pmol以上をご用意頂くことをおすすめします。特に、ゲノム解析が終了していない生物種の場合は、アミノ酸配列決定のためにS/N比の高いデータを取得する必要がありますので、サンプルはできるだけ多くご用意ください。
2. サンプルの送付方法について教えてください。
SDS-PAGEによって分離されたバンドの染まっている部分だけを切り抜いてお送りください。切り出す時には、ケラチンの混入にご注意ください。ゲル片は、1.5 mLのチューブに入れて、冷蔵の宅配便で平日の18時までに当社に到着するようにご手配ください。液体のサンプルは冷凍してください。お送りした分析依頼書に必要事項をご記入のうえ、サンプルに同封するかFAX、eメールでご返送ください。
3. PMF分析について教えてください。
PMF(ペプチドマスフィンガープリント)分析は、タンパク質を酵素(トリプシンなど)で消化した際に生成したペプチド群の質量と、データベースの登録配列から予測した仮想消化ペプチドの質量とを照合してタンパク質を同定する手法です。
4. MS/MSイオンサーチ分析とは何ですか?
質量分析計内部で単離したペプチドをアルゴンガスに衝突させると、ペプチド結合の任意の位置で壊れるためアミノ酸配列に応じた分解物が得られます。登録配列から予測した分解物の予測質量と分解物の実測値を照合してタンパク質を同定する手法です。PMF分析に比べると、同定の蓋然性が極めて高くなります。
5. アミノ酸配列決定分析とは何ですか?
ペプチド分解物を測定したマススペクトルのピーク幅と並びを読むことで、既知の配列データを必要とせずにアミノ酸配列を決定できます。このため、デノボ(de novo)解析とも呼ばれます。配列の決定に際しては、S/N比の高いスペクトルを得る必要があり、充分なサンプル量(pmolオーダー)が必要になります。
6. MASCOTとは何ですか?
PMF分析やMS/MSイオンサーチ分析の際に実測値と予測値を照合させるためのソフトウェアで、Matrix Science社の製品です。NCBInrやSWISS-PROT等の登録配列から計算した消化ペプチドやその分解物の質量の予測値と実測値を比較します。
7. Mowse Scoreとは何ですか?
MASCOT検索を行うと、レポート上部に"Mowse Score"が記載されています。これは実測配列と登録配列がどのくらい一致するかを確率論的に表したものです。Mowse Scoreが高いほど、データの蓋然性が高まります。
8. サンプル量が少ない場合は?
サンプル量が少ない場合は、複数のレーンから該当バンドを切り抜くことによって量を確保してください。基本的には1レーンに泳動する量を増やして濃いバンドをご用意いただけますようお願いいたします。ゲルの体積が増えるとゲル由来の夾雑物も増えますので、5レーンまでを目安にしてください。
9. 膜に転写しても大丈夫ですか?
膜に転写されたサンプルも解析可能ですが、漏出ポリマーによる悪影響が生じやすいため、ゲル片からの分析をおすすめします。
10. N末端/C末端の配列分析は可能でしょうか?
タンパク質をトリプシン消化したあとに、C末やN末を含む消化ペプチドがイオン化して質量分析計で検出できれば可能です。しかしながら、それらのペプチドの検出可能性を事前に推定することはできません。
11. 翻訳後修飾の解析は可能でしょうか?
修飾されたペプチドがイオン化して観察できれば、修飾基や修飾部位の特定が可能です。しかし、リン酸化修飾ペプチドなどはイオン化しにくくなるため、修飾ペプチドだけを濃縮する操作が必要になります。
12. バンドに複数のタンパク質が含まれている場合、解析できますか?
複数のタンパク質が含まれていても、各タンパク質の消化ペプチドのピークが観察されれば、それぞれ同定が可能です。しかし、複数のタンパク質のうち、どれが相対的に高濃度であったかは決定できません。
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