大規模な災害から人・街を守る
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近年、毎年のようにこれまで経験したことのないような豪雨により深刻な水害や土砂災害が発生しています。2015年の関東・東北豪雨では、利根川支川の鬼怒川で堤防が決壊し、近年の水災害では類を見ない4300名もの救助者が発生しました。2016年には北海道・東北地方を相次いで台風が襲い、岩手県の小本川では高齢者グループホームの入居者9名全員が逃げ遅れて亡くなりました。2017年の九州北部豪雨では、筑後川上流の赤谷川流域で多数の斜面崩壊が発生、大量の土砂や流木が河道を埋塞して土砂と洪水が氾濫し甚大な被害が発生しました。2018年の西日本豪雨では、広い範囲で記録的な大雨となり広域的かつ同時多発的に河川の氾濫、土石流などが発生し甚大な被害が発生しました。2019年東日本台風では全国142か所で堤防が決壊し氾濫により各地で甚大な被害が発生しました。
このような豪雨災害の頻発は、地球温暖化による気候変動の影響が顕在化して来たものと考えられており、今後、さらにそのリスクが高まるものと予想されています。
さらに、わが国においては巨大地震による大規模災害への対応が不可欠です。2011年には東日本大震災が発生し甚大な被害が発生しました。今後は、南海トラフ巨大地震、首都直下地震など多くの巨大地震の発生が予想されており、全国でこれら大規模地震に備えなければなりません。
自然災害に備えた防災・減災
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このような大規模な自然災害に対応するため、気候変動予測モデルを用いた将来の降雨特性や海水面変化の予測・分析を行い、河川・砂防・海岸などの整備計画の策定を行っています。また、河川と流域を一体としてとらえた流域治水などの新たな治水対策や、治水とまちづくりを一体とした防災まちづくりの提案を行っています。ハード・ソフトを一体とした治水対策を構築するため、複数のモデルを組合せたハイブリッド洪水予測システムやAIも活用した高度な解析手法の開発により精度の高い洪水予測、浸水被害予測を行うとともに、実効性のある避難行動に向けた各種情報提供の取組を行っています。
その他にも国や自治体の要請に応じて、災害対策に関する計画の策定やプロジェクトの立案を支援しています。また、災害後の早期の被災地の復旧・復興に向けて、被災状況の調査、復旧計画の立案、被災施設の設計などを迅速に行う体制も構築しています。
河川、砂防、海岸、道路、橋梁などのインフラ施設の設計においては、最新の解析技術を活用して、各種構造物の耐震対策、津波対策を行っています。また、各種計画の策定や施設設計に際しては、多自然川づくりや景観シミュレーションなど、自然や生活環境と調和した安全で快適なインフラ整備となるよう検討を行っています。
当社では、高度な調査・計画・解析・設計技術により自然災害に対する事前防災や、災害発生時の迅速な復旧・復興に取り組み、災害に屈しない強靭な国土づくりを通じ、国民の命、財産を守り、社会の発展に貢献していきます。